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souplesse’s blog

読書の記録を中心につれづれと

ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来

「ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来」(2015年 広井良典 

www.amazon.co.jp

有史以来、農耕の開始~市場化~産業化~情報化・金融化という時代の移り変わりが、どのように起こってきたのかを、科学技術の発展を軸に紐解き、これからどんな世界になっていくかを考察した本です。

この本の中で、資本主義と近代科学がパラレルに発展してきたことが、いくつかの文脈で示されるのですが、これが「そう言われてみればその通り!」で面白い。

他にも「資本主義」と「市場」の違いがスコンと腹落ちできる説明があったり、知っていたけれど分かっていなかった断片的な情報が、再編集されるような考察がたくさんありました。(学校で習い、日々新聞やニュースでも見ているはずなのに、経済って結局よく分からない!と感じているのは、私だけでしょうか…)

 

決して読みやすい、分かりやすい本ではありません。要するに何なの?結局どうすればいいの?に対する、痛快で分かりやすい答えもありません。

ですが、少し先(50~100年くらい先をイメージして言っています)のことを想像するのに、とても役立つ本だと思います。

  

以下は、気になった文章の要約

 資本主義と市場主義とは異なる。市場経済は、文字通り市場の領域で、一定の透明性や公平性が生じる領域である。一方、資本主義は単なる商品と貨幣の交換ではなく、そうした取引を通じて自らの保有する貨幣が量的に増大することを追求するシステムである。つまり、資本主義=市場経済+限りない拡大成長を志向するシステム(p28-29)

 

アメリカの全産業利益に占める金融業のシェアは、1984年には9.6%だったのが、2002年には30.9%にまで上昇した。金融という領域が収益を上げていくには、「実体経済面」での生産や消費の拡大が必要である。しかし先進国の国内市場が飽和しても、新興国の工業化や消費拡大に ”寄生” する形で先進国の資本主義は当面生き延びることができる。ここには、低所得者の未来に対する期待に働きかけて、その未来の収益を先回り的に略奪する「期待の搾取」とも呼ぶべき構造がある。(p66-69) 

 

かつては、”人手が足りず、自然資源が十分ある”状況だったので、少ない人手で多くの生産をあげる「労働生産性」が重要だった。しかし現在は逆に、”人手が余り、自然資源が足りない”状況になっている。したがって、そこでは人を積極的に使い環境負荷を抑える「環境効率性」 が重要になってくる。そのための政策として、1990年頃からヨーロッパにおいて「労働への課税から、資源消費・環境負荷への課税へ」という政策がとられるようになった。(例:独1999年「エコロジー税制改革」)(p144-145)